[2022.07.20]試用期間中の解雇が認められる理由は?能力不足のときはどうする?
新しく雇い入れた従業員の仕事の覚えが悪い、勤務態度が良くない…。
そんなときは試用期間中に辞めさせてしまいたいと思う方も多いのではないでしょうか。
しかし、試用期間であっても解雇には正当な理由が必要なのです。
この記事では、どんなときに試用期間中の解雇が認められるのかを解説していきます。
来月で試用期間が終わるから辞めてもらおうかな。
「期待に沿わないから辞めてもらう」のは解雇権の濫用にあたるわよ!
もくじ
1. 試用期間とは
そもそも試用期間とは?
試用期間とは、採用した人に実際の業務を任せてみて、能力や適性を最終判断する期間のこと。
一般的には面接などを通して候補者の能力を判断しますが、期待した働きをしてもらえるかどうかは面接だけではわかりません。そこで、試用期間を設けて、働きぶりから本採用するかどうかを判断するための期間が試用期間なのです。
ちなみに試用期間は、正社員や契約社員だけでなく、パート・アルバイトにも設けることができます。
試用期間の長さはどれくらい?
試用期間の長さに上限はありませんが、1〜3ヶ月が一般的です。
適正を判断するために時間がかかる場合は、6ヶ月など長期の試用期間を設けることもあります。
試用期間中は社会保険に加入させなくてもいい?
試用期間中も加入要件を満たすのであれば、雇用保険や社会保険に労働者を加入されることが義務付けられています。
入社後は速やかに手続きを行いましょう。
2. 試用期間で解雇する場合の理由とポイント
① 能力不足
② 欠勤・遅刻・早退が多い
③ 指示に従わない・協調性がない
④ 経歴詐称
⑤ 健康上の理由
それぞれどの程度で解雇が認められるのか、説明していきます。
① 能力不足
いくら試用期間といっても、単純に能力が足りないことを理由に解雇することはできません。能力が不足している従業員に対しては試用期間を延長し、さらに教育を行いましょう。
ただし、試用期間を延長する場合には以下の要件を満たす必要があります。
・試用期間の延長について、あらかじめ就業規則等に記載がある
・延長しなければならない合理的な理由がある
・本人の合意を得ている
② 欠勤・遅刻・早退が多い
試用期間中の解雇理由で最も多いのが、勤務態度の悪さです。まずは注意・指導を行い、指導記録に残しましょう。指導記録に残しておけば、改善指導が行われているという証拠になり、不当解雇とみなされるのを避けることができます。それでも改善されない状態が続けば、解雇理由として認められる可能性が高いでしょう。
③ 指示に従わない・協調性がない
勤務態度の悪さと同様で、まずは注意・指導を行います。それでも改善されず、客観的に見て解雇に合理性があり、社会通念上解雇が相当だと認められるレベルでのみ、許されると言えます。
④ 重大な経歴詐称があった
重大な経歴詐称と判断され、解雇が有効になりやすい主な内容は「学歴」「職歴」「犯罪歴」です。これらの経歴を詐称していたことが発覚したときは、試用期間中でも解雇が認められる可能性があります。
⑤ 健康上の理由で就業困難になった
病気やケガなど、健康上の理由で就業できなくなった場合は、普通解雇として解雇が認められるケースがあります。ただし、就業規則に本採用拒否事由として「身体または精神の状態が勤務に耐えられないと会社が判断したとき」などと規定しておく必要があります。
まずは試用期間を延長して、様子を見てみるっす!
入社から14日以内に解雇する場合、14日以降に解雇する場合で対応が分かれるの。
3. 試用期間中に解雇する場合の注意点
入社から14日以内に解雇する場合
解雇予告をすることなく解雇を行うことが可能です。
しかし、試用開始から14日以内であっても、客観的に合理的な理由が存在し、社会通念上相当と認められる場合でなければ解雇を行うことはできないことに留意が必要です。
入社から14日以降に解雇する場合
通常の解雇と同様の手続きを踏まなければなりません。
解雇の際には少なくとも30日前に労働者に対して解雇予告をする必要があり、30日前に予告をしない場合は、解雇までの日数に応じた日数分の平均賃金(解雇予告手当)を支払う必要があります。
4. 試用期間中に退職の申し出があったら
もし試用期間中に退職を申し出された場合は、就業規則や社内規定に定められた退職の規定に従って手続きを行ってOKよ。
就業規則などに規定がない場合は民法第627条にのっとり、労働者は退職希望日の2週間前までに退職したい旨を申し出る必要があります。
雇い入れ時には、退職する場合の手続きについてもあらかじめ書面などで明文化しておくといいでしょう。
5. まとめ
・試用期間中であっても「正当な理由がなければ」解雇できない
・能力不足の場合は試用期間の延長をして、さらなる教育を
・勤務態度が悪い場合は、注意をして指導記録を残すこと