[2022.07.28]労災は初動が重要!抑えておくべき発生時のポイント
通勤中の事故や仕事中のケガ…。
突然労災が起こると慌ててしまい、間違った対応してしまう方が多くいらっしゃいます。
いざというときに適切な行動をとれるように、この記事では労災発生時の初動について解説していきます!
でも、労災の初期対応方法を知っておくだけで、その後の流れがスムーズになるわよ。
もくじ
1. 労災のキホン
「労災」ってなに?
アルバイトを1人でも雇用しているのであれば、必ず労災保険に加入する義務があるわよ。
ケガや病気のために医療機関にかかるための費用や、休業時の補償、高度障害が残ってしまった場合の障害補償などがさまざまな補償があります。
労働者を1人でも雇用している事業者は、労災保険に必ず加入することが法律で義務付けられており、保険料は全額事業者が負担します。
補償の対象はどこまで?
労災保険は、雇用形態や勤務日数・時間に関わらず、正社員・パート・アルバイト・日雇いなどすべての労働者が対象となります(派遣社員の場合は、派遣元の事業所が加入)。ただし、企業の代表者や役員、個人事業主などは「労働者」に当たらないので加入対象とはなりません。
どんな場合に適用される?
労災は業務中、もしくは通勤中に発生した事故などに対して適用されます。
■ 仕事中に発生した業務災害
勤務時間内で業務に携わっていた場合に発生したケガなどに対して、適用されます。
例えば、以下のようなケースが業務災害として認められます。
・フライヤーの油がはねて火傷を負った
・フロアのモップがけをしていたら、滑って転倒し骨折した など
ただし、就業中の私的行為や私怨による第三者からの暴行行為、台風や地震などの天災が原因となる場合は業務災害として認められません。
■ 通勤中に発生した通勤災害
通勤災害は、住居と就業場所との往復または就業場所から他の就業場所への移動の際に発生した事故などに対して、適用されます。
2. 労災発生時の対応フロー
STEP. 1 療機関への搬送
労災事故が発生したら、すぐに最寄りの病院に行くように指示します。病院の窓口では「労災事故であること」を伝え、保険証を使用しないようにしてください。保険証を使用した場合、返金手続きや労働基準監督署への費用請求などの手続きが必要となり、手間がかかることになります。
STEP. 2 事故状況の把握
労災は労働基準監督署に届け出る必要があるため、以下の項目を記録しておきます。
・被災した従業員の名前
・労災が発生した日時(病気の場合は診断日)
・労災が発生した状況を確認した人の名前
・原因および発生状況
・ケガや病気の部位や状態
・受診する(した)病院名
STEP. 3 労働保険の給付手続き
■ 労災指定病院の場合
「療養補償給付たる療養の給付請求書(様式第5号)」を作成します。この書類を病院に提出することで、被災者は費用を払うことなく治療を受けられます。
■ その他の医療機関の場合
労災指定病院ではない医療機関の場合は、治療費は一度被災者が全額負担しなければなりません。後日「療養補償給付たる費用請求書(様式第7号)」を作成し、管轄の労働基準監督署に提出します。その後、口座に治療費が返還されます。この書類には、医療機関や薬局の領収書・レシートの添付が必要なため、紛失しないようにしましょう。
STEP. 4 「労働者死傷病報告」の提出
■ 死亡または休業日数が4日以上の場合
労働基準監督署に「様式23号」を提出します。一般的には「災害発生後1~2週間」が目安とされています。
▶参考:労働者死傷病報告(休業4日以上)様式
■ 休業日数が3日以内の場合
労働基準監督署に「様式24号」を提出します。3ヶ月に一度、その期間に発生した災害をまとめて報告します。
3. 労災対応のポイント
保険証はつかわないこと
労災指定病院以外で受診した場合、保険証の提示を求められるかと思いますが、窓口では「労災であること」を伝え、保険証は使用しないようにしてください。その場では、治療費の全額支払いを求められますが、その治療費は手続き後に労働者へ振り込まれることになっています。※労災指定病院を受診した場合は、治療費を負担する必要がありません
労災指定病院なら請求手続きが簡単
労災指定病院を受診した場合、その後行う労災補償の請求手続きが比較的簡単に済みます。手続きは、必要な書類に記入し医療機関に提出するだけです。また、労働者が治療費を一切支払うことなく治療を受けられることも、労災指定病院を受診するメリットでしょう。
「労災隠し」はダメ、絶対
労災隠しとは、労災の事実を隠そうとすることです。労災が発生した際にはさまざまな手続きが必要となりますが、手続きを行わず放置してしまうと、結果的に労災隠しと見なされてしまうこともあります。労災隠しは「犯罪行為」であるため、刑事上の責任を負うことになり、法律では50万円以下の罰金に処されてしまいます。
4. まとめ
・医療機関への搬送は、できれば「労災指定病院」へ
・医療機関の窓口では「労災であること」を伝え、保険証は使わないこと
・必要な手続きを行わないと「労災隠し」とされ、刑事上の責任を負うことになる
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