[2022.12.09]従業員の解雇は慎重に!不当解雇とみなされないためのポイント
「明日から来なくていいから!」つい、そんな言葉を言ってしまったことはありませんか?
原則として、解雇はよほどの事情がない限り認められていません。
もし解雇をする場合でも、慎重に進めなければ「不当解雇」として訴えられてしまう可能性も。
そうならないためにも、解雇が可能なケースやルールをきちんと把握しておきましょう!
この前は無断欠勤もして、悪びれないし…。
勤務態度が悪いことを理由に、解雇しても問題ないですよね?
もし辞めさせたとしても、不当解雇として訴えられる可能性もあるの。
もくじ
1. 解雇とは
解雇とは?
解雇とは、事業主から一方的に労働契約を終了させることです。事業主だからといって、いつでも自由に解雇できるというものではなく、社会の常識に照らして納得できる理由があるときに限り解雇を行うことができます。
解雇の種類
①普通解雇
整理解雇や懲戒解雇以外の解雇のことで、勤務態度が悪く指導を行っても改善の見込みがない場合、健康上の場合により長期間にわたって復帰が見込めない場合に行う解雇です。
②整理解雇
いわゆるリストラのことで、経営の悪化によって人員整理を行わなければならないときの解雇です。ただし、整理解雇は最終手段であり、整理解雇が認められるためにはそこに至るまでに手を尽くしたかどうかが重要なポイントとなります。
③懲戒解雇
従業員が横領や窃盗、傷害など悪質な犯罪行為や長期間の無断欠勤などを行ったときに行う解雇のことです。
ちなみに、懲戒解雇であっても後ほど説明する解雇予告義務・解雇予告手当の支払の義務があります。
解雇が可能な「正当な解雇理由」とは?
解雇が可能な理由は「客観的に合理的な理由」と「社会通念上の相当性」があるかどうかによって決まります。具体的には、その従業員に改善の可能性がなく、労働契約を続けていくことが難しい状態であること、解雇を回避するために手段が尽くされていることが必要となります。
これには一定の基準がないので、個別の事案に応じて判断されています。
ケース① 勤務態度が悪い・能力不足のケース
誰が見ても勤務態度に問題がある・能力不足が否めず、度重なる指導を行ったが改善が見込まれないときは、解雇が認められる可能性が高いです。
ケース② 健康上の理由により、業務を続けることが困難
長期の入退院を繰り返す場合や、事故等によって業務に就くことが困難で、かつ回復の見込みがないと判断された場合には、解雇が認められる可能性があります。
2. 解雇をするために必要なルール
① 解雇事由の明示
就業規則に、どんなときに解雇されることがあるのか(解雇事由)を記載しておかなければなりません。原則、記載のない理由では解雇することができません。
② 解雇予告(解雇予告手当)
解雇をする際には、30日前に従業員へ解雇の予告をする必要があります。
解雇を行う際には、少なくとも30日前に労働者へ解雇の予告をする必要があり、予告をしない場合には、「30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)」を支払わなければなりません。これは懲戒解雇であっても同様です。
また、解雇予告は口頭でも法的効力が生じますが、口約束だけではトラブルの原因にもなるので、解雇の日付や解雇理由などを明示した書面で通知するのがよいでしょう。
3. 法律で禁じられている解雇
解雇制限に該当する解雇
労働基準法では、解雇制限として以下のケースにあたる労働者を解雇してはいけないと規定されています。
・労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後30日間
・産前産後の女性が休業する期間及びその後30日間
合理的な理由がなく、社会通念上相当と認められない解雇
労働基準法のほか、以下のような解雇は男女雇用機会均等法や育児・介護休業法などにより、認められません。
・妊娠や出産、育児休業を申し出たことによる解雇
・国籍や信条、社会的身分を理由とする解雇
・労働組合の結成や加入を理由とした解雇 など
4. 不当解雇と言われないために
いきなり解雇を行わない
解雇する場合、就業規則に該当事由があることが前提となります。そのため、解雇通知を行う前に、あらかじめ就業規則を確認しておく必要があります。
解雇をする前に専門家に相談する
解雇が可能かどうかは法律で一律に判断できず、個々の状況に応じて判断がなされるため、対応を間違えてしまうと不当解雇と見なされてしまう危険があります。後々発生するトラブルを防ぐためにも、解雇をする前に社会保険労務士などの専門家に相談した方が安心です。
5. まとめ
・事業主であっても簡単に解雇は行えない
・解雇の条件・ルールを守らなければ「不当解雇」と見なされる場合もある