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[2023.02.17]【2023年4月改正】月60時間超の割増賃金率が50%に!取るべき対応とは?

2023年4月から、月60時間以上の残業をしたときの割増賃金率が50%に引き上げられます。
大企業では2010年から開始されていた制度が、もうすぐ中小企業にも適用されるのです。
そのときどんな対応を取るべきなのか?解説していきます。

としオーナー
としオーナー
割増賃金率が50%に引き上げられると聞いたんですが、本当ですか!?

そう。2023年4月から、60時間を超えた場合の割増賃金率が25%から50%に引き上げられます。
社労士・久保田
社労士・久保田
としオーナー
としオーナー
そうなると、残業代の計算が複雑になるなぁ~…
そうですね。
でもこれを機に、店舗の残業時間や労務管理を見直してみるのもいいかもしれませんよ。
社労士・久保田
社労士・久保田

1. 「割増賃金率の引き上げ」とは?

 そもそも割増賃金率とは?

労働基準法では、労働時間の上限を1日8時間、1週間40時間と定めています。これを法定労働時間といいます。法定労働時間を超えた労働をするときや深夜労働を行ったときなどには、通常の賃金にプラスして割増賃金を支払う必要があります。


 割増賃金率の引き上げ背景

2010年の労働基準法の改正により、長時間労働を抑制することを目的として、1か月60時間を超える時間外労働について割増賃金率を50%以上に引き上げることとされましたが、小企業については、これまで適用が猶予されてきました。ですが、2023年4月からはこの猶予措置がなくなり、中小企業においても月60時間超の時間外労働については、割増賃金率を50%以上とする賃金の支払いが必要となります。


2. 深夜・休日労働の取り扱い

 深夜労働との関係

月60時間を超える時間外労働を深夜(22:00~5:00)の時間帯に行わせるとき、深夜割増賃金率25%+時間外割増賃金率50%=75%となります。

 
 休日労働との関係

休日労働とは、労働基準法で定める法定休日(週1日または4週間に4日)において、勤務することです。月60時間の時間外労働時間の算定には、法定休日に行った労働時間は含まれませんが、それ以外の休日に行った労働時間は含まれます。ただし、法定休日に勤務したときには、時間外労働ではなく別途休日出勤手当(35%)を支給する必要があります。


3. 事業主に求められる対応

 就業規則の変更

もし、就業規則に法定時間外労働の割増率を定めている場合、就業規則や賃金規程の変更が必要となります。厚生労働省が出している「モデル就業規則」も参考にしてみてください。
▶参考:厚生労働省「モデル就業規則」

 
 労働時間の把握と可視化

2023年4月以降は、残業代を含む人件費が増加していきますので、さらなる労働時間の把握が求められてきます。従業員がいつ・どのくらい時間外労働を行っているのかをきちんと把握・見える化して、労働時間の管理を徹底していく必要があります。その上で、時間外労働を削減してく対策を講じましょう。

社労士・久保田
社労士・久保田
そもそも36協定を締結している場合、通常であれば45時間までの残業しかさせることができません。
ということは…60時間を超えていたら、36協定違反ということにもなりますね。
としオーナー
としオーナー
社労士・久保田
社労士・久保田
そういうこと。
だから残業60時間以内を目指すのではなく、45時間以内に抑えることが必要なんです。

4. まとめ

・2023年4月から、月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が50%に引き上げられる
残業時間削減のためには、労働時間の把握と可視化が求められる
・そもそも60時間を超えると36協定違反。残業時間は45時間に抑えること

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