[2023.01.20]従業員が音信不通に!事業主が取るべき基本対応を解説
コンビニ事業でアルバイトやパートを多く雇用している方であれば、「従業員が連絡もなく、いきなり来なくなった(いわゆるバックレ)」という経験をした方もいらっしゃるのではないでしょうか。
何度も電話しても連絡が取れないとすぐに退職扱いにしてしまいたくなりますが、それはNG。
この記事では、長期で無断欠勤が続く従業員への基本対応を解説していきます。
電話しても出ないし、もう退職の手続きを取ってもいいですよね。
ちゃんと段階を踏まずに退職にしてしまうのは危険です。
音信不通の理由がわからないと、後々トラブルに発展してしまう可能性もありますよ。
もくじ
1. すぐに退職手続きはNG!まず対応すべきこと
無断の長期欠勤があっても、すぐに退職手続きを取ってしまうのはNGです。なぜなら、すぐに連絡が取れない状態に陥っている可能性もあるからです。特に一人暮らしの場合は、誰にも気づかれずに自宅で死亡している可能性もあり得ます。
また、そのような状況にも関わらず退職させてしまうと、後々トラブルに発展してしまうこともあります。
① 従業員本人やその家族に連絡を取り、状況を把握する
●従業員に連絡をする
まずは従業員と連絡を取れるよう、できる限り手を尽くしましょう。その際、連絡を取った証拠として発信履歴のスクリーンショットを撮る、発信した日時をメモするなどをしておくとよいでしょう。また、電話に出ない場合はLINEやメールなどで状況の確認をすれば、連絡をとったことの証明にもなります。
●家族に連絡をする
本人と連絡がつかない場合は、緊急連絡先(両親や兄弟、配偶者など)に連絡をして、状況の確認をします。
●郵便を使って連絡する
電話連絡がつかない場合、郵便による連絡を試みます。郵便で連絡する場合には、必ず控えを残して連絡を試みた記録として保管します。
② 従業員の意思を確認する
従業人本人と連絡がつけば、勤務を継続するのか退職するのか意思を確認します。退職の意思がある場合には合意退職(本人都合の退職)となるので、解雇予告や解雇予告手当は不要です。
③ 従業員と連絡がつかない場合
どうしても従業員と連絡がつかない場合は、内容証明郵便を使って、意思確認を連絡を試みます。内容証明郵便で郵送すれば後に紛争に発展した時に有力な証拠として扱われます。また、文書内容に連絡がない場合には自己都合退職であることを同意している主旨の一文を加えることで、円滑な退職手続きを行うことができます。
身元保証書を提出してもらうのも一つの手ですね。
2. 懲戒解雇は認められる?
懲戒解雇は普通解雇に比べて認められる幅が狭いからです。懲戒解雇が認められる例としては、会社の金銭の横領、重大なセクハラ・パワハラ、殺人・強盗・強姦などの重大犯罪などがなければ、懲戒解雇と認められないことが多いです。
参考▶従業員の解雇は慎重に!不当解雇とみなされないためのポイント
3. 退職後の手続きは?
長期無断欠勤が続いた従業員が退職した場合も、通常の退職時と退職時の手続きは変わりません。ただし、無断欠勤が続いた手前、従業員としては直接やり取りすることは避けたいと感じるでしょう。そのときは、郵送で必要な書類のやり取りを行いましょう。
■退職時に回収するもの
・健康保険証
社会保険に加入していた場合は、健康保険証を回収します。被扶養者(配偶者・子どもなど)がいるときには、被扶養者分の健康保険証も忘れずに回収しましょう。
・ユニフォームなどの貸与品
ユニフォームや名札など事業主側から貸与していたものがあれば、返却してもらいます。直接手渡しで受け取れるのがよいかと思いますが、バックレた本人の心情をおもんぱかるのであれば着払いでの郵送返却も認めましょう。
■退職後に渡すもの
・雇用保険被保険者資格喪失確認通知書(離職票含む)
従業員が雇用保険に加入していた場合、雇用保険を抜ける手続きを行い、雇用保険被保険者資格喪失確認通知書を渡します。また、雇用保険被保険者証を事業主側で保管しているのであれば、その返却も行います。
・源泉徴収票
もし次に転職する場合は、転職先から前職の源泉徴収票が求められます。すぐに転職しない場合でも、確定申告の際に必要となる書類なので退職後には源泉徴収票を発行する必要があります。
参考▶【無料作成ツールあり】源泉徴収票を発行してほしいと言われたら
・退職証明書
退職証明書を請求された場合、事業主は必ず発行しなければなりません。決まった様式はありせんので、東京都労働局のモデル様式が公開されていますので活用するのもオススメです。
参考▶東京都労働局 退職証明書モデル様式(PDF)
4. まとめ
・無断欠勤が続いても、すぐに退職手続きを取るのはNG!
・まずは従業員の安否が確認できるように手を尽くす