[2022.11.22]実は違法な有給の買取!認められるケースを解説
退職時に余った有給の買取を求められたことはありませんか?
実は、有給の買取は「違法」とされているんです!
しかし、例外的に買取が認められるケースもあります。
今回はどのようなときに有給の買取が認められるのか、買取時の注意点について解説していきます。
有給は、退職が決まってからでも取得することができるし、まとめて消化することも問題ありませんよ。
今日はそんなときに認められるケースについて解説してきますよ!
もくじ
1. 有給の買取とは
有給の付与日数
年次有給休暇(有給)は、会社の規模や業種、雇用形態に関わらず、一定の要件を満たせばすべての従業員に与えられる権利です。
6ヶ月在籍した際の最初の付与日数は、フルタイム従業員であれば年10日以上、パート・アルバイトであっても所定労働日数によって、年1~7日の有給が付与されています。
参考▶【無料有給管理ツールあり】有給休暇の付与日数、把握していますか?
有給の買取とは?
有給の買取とは、従業員の保有する有給を会社(事業主)が買い取ることを言います。一般的には、退職時に使用できなかった分の有給買取を求められるケースが多くあります。
有給の買取が認められていない理由とは?
会社が残った有給の買い取りをすることは認められていません。そもそも有給とは、労働者がしっかり休息を取って、リフレッシュすることを目的にしたものです。それを休ませる代わりに、お金を支給することは本来の制度趣旨に反するからです。
買取が認められるケース
しかし、例外的に「退職時に残った有給」と「時効となってしまった有給」については、買い取ることもできるとされています。
・退職時に残った有給
退職してしまうと、有給が残っていても権利が消滅してしまいます。なので、それを事業主が買い取ったとしても、有給の本来の趣旨を損なうものではないとして、買取が認められています。
・時効となってしまった有給
有給は権利の発生から2年経つと、時効により消滅してしまいます。退職時に残った有給と同じ理由で、買い取っても従業員にとって不利益とならないため、買取が認められています。
2. 有給買取金額の計算方法
具体的な買い取り金額の計算方法は、以下の3パターンで設定することが多いです。
・所定労働時間働いたときの「通常の賃金」
・労働者の過去3ヶ月の賃金から算出した「平均賃金」
・標準報酬月額の30分の1にあたる「標準報酬日額」
3. 有給買取時の注意点
有給の買い取りは義務ではない
退職時に余った有給や、時効となってしまう有給については買い取りが認められていますが、法律で定められた義務ではありません。したがって、従業員に買い取りを求められたとしても、買い取るかどうかや買い取り時の金額は事業主側で決めることができます。
あらかじめ買取の予約するのは違法
事前に買取の予約をすることによって、本来与えるべき有給日数を減らしたりすることは禁止されています。
買取代金は給与として扱わない
有給の買取代金は、時効消滅分の買取であれば賞与として扱います。そのため、賞与としての有給休暇の買取代金を支払った日から5日以内に、賞与支払届を年金事務所へ提出する必要があります(※社会適用事業所の場合)。
また、退職時の買取は退職所得として扱われるため、退職所得に関する源泉徴収票の発行が必要です。
4. 有給の買取を減らすために…
有給の本来の目的から考えると、未消化の有給が残っていることは好ましくありません。したがって、なるべく有給買取を行わないようにしていくことが事業主には求められます。そのためには、有給を取得しやすい職場環境をつくること、そして従業員に有給の取得を促せるように有給日数を管理することが必要です。
有給の計画的付与制度を導入する
有給の付与日数のうち5日を除いた残りの日数について、労使協定を締結する等により、計画的に休暇取得日を割り振ることができる制度です。計画的付与制度を導入することで、従業員側はためらいを感じずに有給を取得できるようになります。
参考▶年次有給休暇取得促進特設サイト(厚生労働省)
有給日数の管理
だれに、いつ、何日分の有給を付与しているのかを適切に管理しなければ、有給取得の促進ができません。また、有給年5日の取得義務化とともに、有給休暇管理簿の作成・保存も義務付けられているため、有給日数の管理をすることが求められているのです。
参考▶【無料有給管理ツールあり】有給休暇の付与日数、把握していますか?
5. まとめ
・買取ができるのは「退職時に残った有給」と「時効になってしまった有給」のみ
・ただし買取は義務ではないため、買い取るかどうかは事業主の任意
・なるべく買い取るよりも取得を促していくことが大事