[2025.1.15]コンビニ事業で活用されている助成金(キャリアアップ助成金【賃金規定等改定コース編】)
近年、人手不足や働き方改革の推進に伴い、非正規雇用労働者の待遇改善が求められています。
その一環として、国が提供する「キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)」は、非正規雇用労働者の基本給を引き上げる取り組みを支援する制度です。
この助成金は、賃金規定の改定により非正規雇用労働者の処遇を改善し、企業の成長と持続可能な雇用環境の整備を目指すものです。
数ある助成金の中で、今回は「キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)」に絞ってポイントについて分かりやすく解説します。賃金引き上げを検討しているコンビニオーナー様は、ぜひ参考にしてください。
1. 助成金の目的とは…
助成金は、国の政策目標を実現するため、お店が取り組む活動を支援する制度です。
そのため、「お金をもらうこと」が目的ではなく、「政策に賛同しまじめに取り組む」ことで結果としてもらえるものになります。
コンビニ事業で活用しやすい助成金の種類に関しては、以前の記事でも取り上げていますので、ぜひご覧ください。
参考▶「【コンビニ専門社労士が勧める】コンビニ経営で使いやすい助成金ベスト3」
参考▶コンビニ事業における助成金申請の落とし穴
2. キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)」の受給要件
キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)」の受給要件を簡単にまとめると下記2つの要件です。
・従業員全員(非正規労働者)の賃金を3%以上上げる
※非正規労働者は、契約期間が決まっている労働者、パート、アルバイトが該当します。
・賃金規定を作成する
ここでポイントになるのは、賃金が実際に上がったかどうかを確認するために6ヶ月間の確認期間が必要になります。
つまり、1ヶ月だけ賃金を3%上げて、翌月から元の賃金に戻しても要件を満たしません。
また、今回の助成金の要件の中で、賃金規定を作成するのが最も苦労するところになります。
現状、店舗には様々な時給の従業員がいらっしゃいます。そうした時給単価の分布を整理棚卸し、全ての方が最低3%以上の昇給となるよう調整しつつ、給与体系を6段階程度の等級別に分けて整備していきます。
その後は、賃金のベースアップ後に、全体の人件費がどの程度増加するのかを確認し、最適な形で調整する必要があります。
3. キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)」の受給金額
今回の助成金の受給金額は、現時点(2025年1月15日現在)では確定していません。
令和7年度の概算予算案が下記内容で発表されておりますので、参考にしてください。
賃金を大きく引き上げれば、その分受給できる金額も増えていく仕組みになっています。
しかし、コンビニ事業では人件費が大きな割合を占めるため、一気に賃金を引き上げるのは現実的ではありません。
3%以上の引き上げであれば、助成金が受け取れる仕組みになっているので、無理のない計画を立てて進めていきましょう。
4.まとめ
・助成金の目的は、お金をもらうことではなく、会社の労務管理体制を整備し、従業員の雇用の促進や安定を図ること
・キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)の受給要件は、「非正規労働者全員の賃金を3%以上アップ」と「賃金規定の作成」
・賃金を大きく引き上げれば受給できる金額も増えるが、コンビニ事業においては一気に賃金を引き上げず慎重に検討する
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